属人化のかなしい弊害


ソフトウェア運用が属人化する一番の理由 - 四十三庵

 

いま所属しているのは属人化の極みみたいなチームだ。

複数の業務ソフトの保守・運用・問い合わせ対応、それとネットワークまわりを主に担当しているチームなのだけれど、

数年前までは一つの業務ソフトについて、一人の担当SEが全部引き受けていた。

ここ数年になって、SEの下に新卒のPGをつけて二人一組体制にしている。

 

問題はSEがPGに業務を全然教えないこと。

網羅性の高いドキュメントは無い。「作ってほしい」とそれとなく伝えても作りたがらない。口頭での指導もしない。理由は「忙しいから」。

PGは何も分からないまま、言われたことだけを必死でこなす。

あるいは仕事を与えられないまま放置される。

名ばかりOJTにありがちな、「若手の現場への放置」が見事に起こっている感じだ。

 

なぜSEは後輩の指導をしないのか。おそらく、蔀さん(id:st43)が上記ブログで、エンジニアがドキュメントを作らない理由として指摘されているのと同じだと思う。

彼らは後輩に自分の価値を奪われたくないのだ。なんとしてでも「分からなければ俺に聞けよ」状態を保ちたいのだ。

新卒PGはコミュニケーション能力に長けており、ユーザーに好かれる。彼女たち(うちのチームは全員女性)に業務知識を伝授してしまえば、ユーザーは彼女たちを頼るだろう。SEは自分の価値も自尊心も損ねてしまう。

 

かくして、ツーマンセル体制にしても属人化は全然解消しないのだけれど、

わたしが本当にかなしいと思っているのは、SEが平気で嘘をつくことだ。

 

業務が属人化した状態では、自分の業務の範囲内でなら、嘘をついてもバレることはほとんどない。

上司に説明を求められたら適当に専門用語を並べ立ててごまかせばいいのだから。

嘘で切り抜けられた成功体験が積み重なって、嘘が習慣化してしまったのだろう。

 

SEが毎週課長に提出する作業実績報告レポートが明らかに水増しされている。実際に作業をしているのはPGの私だから、分かる。

プロジェクトの進捗遅れをごまかそうとしているのが明らかだ。

 

でも「この数字嘘ですよね?」とわたしの口から言えるはずがない。

だからわたしは打ち合わせの席とかで、

「この12月の実績値なんですけど、これ見込み値?じゃないですか?

わたしよく分からないんですけど、数字的には見込みっぽいかなーって。

まだ実績値は集計が終わっていない感じなんですか?」

とアホっぽく、あくまでも小さなミスに気がついただけですよ、みたいな態度をとる。大人の配慮だ。もう二年目だからね。

 

SEは自分の嘘がバレたことに気づかないで、また嘘を繰り返す。

 

でもわたしはもう疲れてしまったよ。

こんな人間をどう信頼しろというのだ。

いちいちご発言やご指示の裏をとらないと、わたしまでSEの嘘に巻き込まれてしまう。

本当に疲れる。かなしい。

 

このSEを反面教師として、

わたしはたとえ小さな嘘でも、決してつかないようにしている。

たとえば課長に遅刻理由を問われたら「なんとなくダルくて家を出るのが遅れました」と正直に答えることにしている。